（初出：２０００年６月、パソコン通信「ＰＣ−ＶＡＮ」）
オランダとベルギーの共催で開かれたユーロ２０００はフランスの劇的な
ゴールデン・ゴールで幕を閉じました。これでフランスは、９８年Ｗ杯に続く
優勝。世界チャンピオンにして、欧州チャンピオンに輝くというとんでもない
快挙を成し遂げました。
ここでベスト４に残ったフランス、イタリア、オランダ、ポルトガルの４カ国に
絞り、大会を総括してみたいと思います。
［システム］
ベスト４のうち、３バックはイタリアだけ。フランス、オランダ、ポルトガル
と、実に３カ国が４−４−２を基調とするシステムを取っていました。子細に見
れば４−４−１−１、４−２−３−１だったりしますが、いずれにせよ後ろは４
人で守ろうという構えです。
９４年Ｗ杯で、ともに４−４−２のブラジルとイタリアが決勝を戦ったのを境
に、３バックへの回帰が世界的な潮流になっている感がありますが、どうしてど
うして４バック健在です。
［ベストイレブン］
というわけで、ベストイレブンも４強から４−４−２を基本に選んでみたいと
思います。
[ＦＷ] アンリ クライファート
[ＭＦ] ジダン フィーゴ
ダビッツ アルベルティーニ
[ＤＦ] マルディーニ テュラム
ホルヘ・コスタ カンナバロ
[ＧＫ] トルド
フランス３人、イタリア４人、オランダ２人、ポルトガル２人となかなかバラ
ンスが取れました。
一番異論が出そうなのはアルベルティーニかな（笑）。まあ、贔屓目もあるけ
ど、がんばってましたよ。イタリアの貧攻の中で、前線に良いフィードもありま
した。
ホルヘ・コスタも意外かもしれませんが、実直によく頑張ってる印象がありま
した。そこがオランダ、フランスの強力センターバックコンビを抑えた理由です。
まったくの余談ですが、サッカーの選手って磨き抜かれたという感じの上半身を
している選手が多いでしょう。逆三角形で、胸板熱く、腹筋はあくまで彫りが深
くという。ところがフランク・デブールって、準決で負けた後にユニフォームを
脱いだところを見たら、胸は薄いし、腹筋の彫りは浅いどころか、お腹を脂肪の
層が取り巻いているんですね。あれには驚きました。あれでよく一流のプレーが
できる。
右サイドバックは毎試合活躍した選手というのが見あたらず、固定されていた
分だけテュラムが有利になりました。
トルドはねえ、１試合でＰＫ６本打たれて５本止めたら、もう選ぶしかないで
しょう（オランダ戦）。ＦＷが５点取るよりすごいよね。
あとの選手はだいたい異論はないのでは？
［監督］
なんと４強に残った国のうち優勝したフランスのルメール監督をのぞく３人が
辞任しました。欧州で４強に入るなんて、日本人の感覚ではものすごい快挙だと
思うんですけどねえ。厳しいですねえ。
イタリアの次期監督はトラパットーニだそうです。なんかますます守備的にな
りそうだなあ。トラップさん、最近監督業では成功してないんですよねえ。フィ
オレンティーナ然り、カリアリ然り。バイエルンでは優勝していますが、それも
最初の挑戦で成績を残せず１度クビになってからの再挑戦ですからね。だいたい
ブンデス・リーガの現状を考えると、誰が監督をやったってバイエルンはかなり
の確率で優勝するでしょう。
と言いながら、やっぱりアズーリを応援するんだろうな。
［ホームページ掲載に当たっての加筆］（２００２年１２月記）
予選ラウンド概観グループＡ：ポルトガル（３勝）、ルーマニア（１勝１分け１敗）、
イングランド（１勝２敗）、ドイツ（１分け２敗）
この大会ではドイツ、イングランドというサッカー大国がどん底を経験した。
パソ通仲間との賭けで両国の決勝トーナメント進出を予想した私も惨敗だった。
グループＢ：イタリア（３勝）、トルコ（１勝１分け１敗）、
ベルギー（１勝２敗）、スウェーデン（１分け２敗）
オランダとともに共催国の一翼を担ったベルギーが、開幕戦に勝った後、連敗。
この大会史上初めて、「決勝トーナメントに進めなかった開催国」となった。
グループＣ：スペイン（２勝１敗）、ユーゴスラビア（１勝１分け１敗）、
ノルウェー（１勝１分け１敗）、スロベニア（２分け１敗）
勝ち点で並んだユーゴとノルウェーは、直接対決の結果によりユーゴの勝ち抜
け。ユーゴは得失点ともに７、ノルウェーは得失点ともに１と、好対照だった。
グループＤ：オランダ（３勝）、フランス（２勝１敗）
チェコ（１勝２敗）、デンマーク（３敗）
とんでもない組み合わせである。まさにグループ・デス。それでもホスト国の
オランダは全勝で勝ち抜けを決めた。北欧勢の不振が目立った大会でもあった。
準々決勝：トルコ０−２ポルトガルイタリア２−０ルーマニア
オランダ６−１ユーゴスラビア
スペイン１−２フランス
準決勝：フランス２−１ポルトガルイタリア０−０（ＰＫ３−１）オランダ
決勝：フランス２−１イタリア